音楽家のための電気マニュアル



細かな理論や数式などは、その勉強に時間を使うよりも、分かる奴に任せれば良いだろということで、音楽家が押さえておくべきことを列挙した。

日本の電源について

 
送電の人口カバー率の高さや、停電率の低さは、世界でトップと言って過言ではないほど優秀さを誇り、日本の高度経済成長を支えた一因と言える。

しかし、図の左側のようなコンセントも少しずつ増えてきたものの、依然として日本は右側のコンセントが一般的であり、各コンセントにアース端子が標準でないことや、コンセントから電力を引っ張る際の抵抗値は、音楽に適しているかというと、それは残念と言わざるを得ない。

また、屋内配線が平行線(ツイストしていない)というノイズを拾いやすい構造をしている。

電源ノイズの現状

 
機器の電源の主力はスイッチング電源とリニア(トランス)電源の二つだが、スイッチング電源方式は、90年代から徐々に増え始め、2000年頃から爆発的な普及をした。

安価・軽量・大電流と良いところだらけの電源方式だが、IN側にもOUT側にも大量のスイッチングノイズを撒き散らしてしまい、音響機器においては内部でノイズ対策を行なっているものの、音の濁りの形で聴こえてくることが多い。

また、問題は外部に対するノイズの吐き出し(正確には負荷変動)であり、厄介なことにこのノイズは配線を伝い共有される。
この共有は恐ろしく、屋内配線を伝って他の部屋だけでなく、柱上トランスを伝い他の家庭のノイズも共有されてしまう。(無論、距離やトランスなどで減衰はしている)

よって、何かしらのノイズフィルターによって音響機器の隔離を行うべきである。

アース不在の弊害

 
電柱から機器までの配線が太く短い場合は、電子回路としては全く問題なく、アース不在による音質劣化はとても小さい。

だが、現実には音楽用途としては細い線材で、建物内をそれなりの長さを引き回されてしまっていることが多く、どうしても電力が引っ張り辛く、大きな電力要求があった際に応えきれず電圧・電流にブレが生じ、音が滲み抜けが悪くなってしまいがちである。

音響アースはそのブレ現象を緩和することが出来る。(The Focusシリーズで対応可)

なお、洗濯機やクーラーなどに使われている雑電アースは、その性質上、他の機器から発生したブレをノイズとして集めてしまっており、音響用に使用するとノイズを発生させてしまいがちである。

200V神話について

200Vにするとノイズが少なく抜けが良いという話が度々聞かれるが、これは影響がない訳ではないものの、本質的には電力の引っ張り易さにある。

イメージを掴みやすくするために敢えてやや不正確に書くならば、200Vの場合、100Vに比べて2倍引っ張り易く、これにより機材がエネルギッシュに鳴ることができる。

これは電力を引っ張ってくる際の抵抗値の問題であり、どんな電圧で機器に入力しようが回路内で最適な電圧に変換するため、微細な音色の差を除けば、100V環境においてもほぼ同等の状態に持っていくことは可能である。(FilterPLUSシリーズで対応可)

なお、「アース不在の弊害」項の図のL1とL2を使用すると、一般的な家庭でも200Vを取り出すことが出来るが、この工事には電気工事士の資格が必要であり、また対応機器以外を接続すると機器が故障するため、やはり相当する知識がない場合は推奨できない。

昇圧・高圧 / 絶縁トランスについて

 
100Vを200Vにしたりと電圧を上げたり、ノイズを隔離したりすることが可能なトランスだが、ここには1つ大きな落とし穴がある。

トランスはあくまでも電磁誘導という現象を利用しており、インとアウトは物理的に電線が繋がっていないことにより、大電力を引っ張ろうとすると抵抗が大きくなってしまう。

機材側から見ると大きな電力を引っ張り辛くなってしまい、高電圧というメリットが激減してしまうため、生半可な知識では全く推奨できない。(機材の設計によっては100V機器と混在させた時に故障や事故もありうるため、余計に勧められない)

ある程度の知識を前提に、どうしても導入したいのであれば、必ず消費電力に対してW数に余裕(最低でも2倍以上)を持たせるべきである。

ギリギリだと音が去勢されたように痩せてしまうことが多い。

絶縁トランスも然りである。

ノイズフィルター(一般的なLC LPF)について

 
極めて単純で原始的な回路で、電圧を下げず簡単にノイズ成分を減衰させることができる。

店主が推奨している TASCAM AV-P250・FURMAN M-8X2などに搭載されているノイズフィルターがこの回路である。

実はこの回路にも欠点があり、僅かながら電力を引っ張りにくくするため、直列で接続した場合は音の鮮度が下がっていってしまう。

もし、たくさんの出力が必要であれば、コンセントに電源タップを用意し、そこから複数台のパワーディストリビューターにて分配(要するにLCフィルター1段)が理想である。

(FilterPLUSシリーズで改善可)

電力のバッファとは

 
日本の電源環境において、電力の引っ張りにくさは大きな問題である。

電線にも僅かながら抵抗があり、引き回しの距離が長くなるほど抵抗値が増大し、また、雑電の場合は1.6mmの銅単線(電源用としては細め)で引かれている場合があり、より深刻さが増す。

だがこれは、電力を消費する近くに電力のバッファ(予備タンク)があれば、大きく緩和が可能できる。(FilterPLUSシリーズで対応可)

なお、前述のLCフィルターにおいてはバッファを増やすと、ノイズフィルターの効果が増大する。

まとめ……日本の電源の問題点と解決策(追記予定)

まず言える事は、100V環境でも大した問題なく戦えるため、無理に200V環境を整えるよりも、先に対策を撃つべし。

1.100V故の電力要求に対する脆弱性
FilterPLUSシリーズによる電力バッファ(ダム)

2.アース不在による電圧のブレに対する脆弱性
The Focusシリーズによる補正(仮想アース)

3.並行屋内配線によるノイズ混入(及び放射)
ノイズフィルターとFilterPLUSシリーズの組合せによる高性能フィルタ